
子どもと富士山を見に行く計画ほど、天気予報とにらめっこになる旅はありませんよね。でも東京から片道約2時間、現地は周遊バス1本——無料の湖畔フラワーパークを駆け回り、遊覧船で湖の風を浴び、ロープウェイで空に浮かべば、山がまる一日隠れていてもちゃんと成立するプランを組めます。実際、富士山が全体まできれいに見える日は地元で「3日に1日ほど」と言われる少数派で、日帰りの家族が湖に着く11時前後には、もう雲が湧き始めているんです。見えたら文句なしのごほうび、見えなくても、子どもたちはたぶん気づきませんよ。
静かな湖畔の町、というのはもう昔の話です。2024年に富士河口湖町へ泊まった外国人は約75万6,000人。前年より31%も増えて、コロナ前の水準さえ超えました。しかも人が集まる場所は、家族連れが行きたい場所とみごとに重なるんです。週末の昼どきの河口湖駅周辺、大石公園、そして駅前の有名なローソン撮影スポット。世界中で話題になったあの構図はすぐ横が車道なので、小さな子と一緒ならスキップするのが安心です。湖を一周する周遊バス「オムニバス」も、ハイシーズンの昼間は立ち客でぎゅうぎゅうになりがち。ガイドブックにはあまり載っていませんが、4歳児を抱えた腕には切実な問題ですよね。
だから、作戦はシンプルにいきましょう。乗れるいちばん早い電車に乗ってしまうこと。着いたらまずレッドラインで約30分、湖の向こう側の大石公園へ向かいます。バスが空いていて、富士山に会える確率もいちばん高い時間帯です。午後は人の流れと逆向きに、駅のまわりへ戻りながら遊ぶのが正解ですよ。
行き帰りで機嫌を使い果たさないこと。子連れ旅は、実はここが勝負どころです。頼れるのは特急「富士回遊」で、新宿から乗り換えなしの約1時間55分、片道¥4,130。全席指定だから、立ちっぱなしの心配がないのがうれしいところです。ただし1日4往復しかなく、人気の便は数日前に売り切れてしまうので、予約は往復セットが鉄則。バスタ新宿発の高速バスは約¥2,000〜2,200と手頃です。時刻表では1時間45分ほどですが、週末は中央道の渋滞で3時間近くかかることも。膝の上の幼児と過ごすバスの3時間——正直、覚悟が要ります。
河口湖駅に着いたら、まず窓口で周遊バスのフリーパスを買ってしまいましょう。レッドラインとグリーンラインに2日間乗り放題で、従来は¥1,700前後です(最新料金は窓口で確認を。子どもは約半額)。もうひとつ、地味に効く事実があります。東京へ戻る現実的な最終の電車・バスは、夜ではなく夕方に出るんです。小さな子ども連れなら、午後の半ばに「そろそろ帰ろうか」と切り上げるくらいでちょうどいいはず。
行き先は、よくばりたい気持ちをこらえて7つではなく3つに絞りました。どれも短時間で、いつでも切り上げられて、富士山の機嫌に左右されない場所です。
湯気ごとテーブルに届く鉄鍋。ご当地グルメのほうとうは、平打ちの小麦麺をかぼちゃ入りの味噌でぐつぐつ煮込んだ一品です。麺は柔らかくてほんのり甘く、取り分けもしやすい。実は、かなり優秀な子ども向けごはんなんです。駅から徒歩8分ほど、大きな水車が目印の「小作」が安定の選択肢。Googleレビュー6,789件で4.2★という評判が、味の裏づけになってくれます。ただし有名ほうとう店はピーク時に30〜60分待ちになるので、狙うなら11時半前か13時半以降です。「てっちゃん(Takegawa Udon)」の吉田うどんは¥600〜900と町いちばんの手頃さですが、強烈なコシのある麺は小さな子には好みが分かれるかもしれません。大石公園の近くで軽く済ませたい日は、湖を望むテラスのあるベーカリー「Lake Bake」(4.2★、1,161件)が便利ですよ。ひとつだけ注意を。この町の店の多くは15時から17時まで休憩に入ります。お腹をすかせた子どもは、休憩明けを待ってくれませんから。
絶叫コースターで有名なあの遊園地は、河口湖駅と同じ富士急行線の沿線にあります。小学生以上の子ども連れなら、このプランを丸ごと富士急ハイランドに差し替えるのも楽しい選択ですよ。
アトラクションを見る最後に、あえて逆の提案をひとつ。日帰りでも十分に楽しい一日になりますが、朝の河口湖には、日帰りでは間に合わない時間があるんです。富士山がもっとも確実に姿を見せるのは6時から9時。バスも撮影スポットもすいているのは10時前です。そして町の記録的なにぎわいを支えているのは、日帰り客ではなく泊まる人たち。湖畔に1泊した家族は、ホテルの窓から6時半の富士山を眺め、誰もいない湖畔の公園を散歩して、ゆっくり朝ごはんを楽しんでから、昼に押し寄せる日帰り客とすれ違うように動けます。
もちろん、日帰りで大満足のまま帰る家族もたくさんいます。ただ、線引きは案外はっきりしていると思うんです。子どもに本物の富士山を見せたいなら、泊まる。公園と船とソフトクリームで十分なら、日帰りでも約束どおりの一日になりますよ。
はい、子どもと富士山を楽しむなら、いちばん手軽な旅先のひとつです。登山は一切いりません。無料で入れる大石公園の芝生と花の遊歩道、20分の遊覧船(子ども¥500)、3分のロープウェイが、1本の周遊バスルート上にきれいにそろっていますよ。
正直、保証はできません。全体まできれいに見える日は少数派で、地元では「3日に1日ほど」と言われます。遅めの午前は雲が湧きやすいので、富士山なしでも楽しい1日を組んでおいて、晴れた富士山はおまけと考えるのが気楽です。確率を上げたいなら、1泊して6時〜9時のゴールデンタイムを狙うのがいちばんですよ。
特急「富士回遊」なら、新宿から乗り換えなしの約1時間55分です(片道¥4,130・全席指定)。週末は売り切れるので、予約は往復とも早めに。高速バスは約¥2,000〜2,200と手頃な一方、週末は渋滞で3時間近くかかることもあります。
丸1日みておいて、柱は最大3つに絞りましょう。公園、遊覧船、そしてロープウェイか茅葺きの里です。片道約2時間の移動に加えて、快適に帰れる最終の電車は夕方に出てしまうので、午後の半ばには帰路につくくらいがちょうどいいですよ。