
うどんは昼の料理、ほうとうは夜の料理として生まれた
河口湖で何を食べるか決めるとき、先に見ておきたいのは品書きより時計です。この町の二つの名物、ほうとうと吉田のうどんは、生まれ方が逆でした。うどんは仕事の合間に食べる昼の一杯として広まり、ほうとうは一日の終わりに家族で囲む夕食の鍋でした。その成り立ちが、今の店の営業時間にそのまま残っています。だから「何を食べるか」より先に「何時に河口湖にいるか」を決めたほうが、食べたいものにたどり着けます。以下は町と国の公式資料にある説明です。個々の店の営業時間と定休日は変わるので、行く前にその店の公式で確かめてください。
標高800mを超える高原にある富士河口湖町では、稲作ではなく畑作が発達しました。だから昔から「ほうとう」や「うどん」といった粉食が根付いている、と町の公式グルメガイドは説明しています。町のグルメガイド
山梨県全体でも事情は同じで、土地の約80%が山間部にあたり稲作に向きません。米に代わる主食として、小麦の麺が打たれてきました。農林水産省のほうとうの解説
同じ粉から生まれた二つの麺は、役割が違いました。うどんはかつて冠婚葬祭のときに食べる神聖なもの、ほうとうは一日の仕事を終えたあとの日常の夕食です。この違いが、今も店の開いている時間に残っています。
ほうとうは、小麦粉をぬるま湯などで練ってのばし、約1cmの幅に切った平打ちの麺です。これを野菜や肉と一緒に、味噌仕立ての汁で煮込みます。農林水産省のほうとうの解説
打つときに塩を使わない、あるいは少ししか使わないので、麺のコシは強くありません。打ち粉がついたまま煮込むため汁にとろみがつき、煮崩れたかぼちゃとよく絡みます。「うまいもんだよ、かぼちゃのほうとう」と言われるほどかぼちゃはよく使われますが、具材は好みのもので構いません。だから店ごとに味噌も具も変わります。
そして大事なのは出てくるまでの時間です。家庭では大鍋ですが、飲食店では一人分ずつ鉄鍋で提供されることが多い。席に着いてすぐ出てくる料理ではありません。帰りの列車やバスの直前に飛び込む一品ではないと考えてください。
同じ生地からできる「おざら」は、やや細い麺を一度ゆでて冷水でしめ、醤油ベースのつゆで食べます。夏に好まれる食べ方ですが、主に甲府市や身延町などの食べ方で、河口湖の店に必ずあるものではありません。
富士五湖エリアの名物が「吉田のうどん」です。コシが強い硬めの麺と、味噌か醤油をあわせたつゆが特徴で、キャベツや肉が乗ります。町のグルメガイド
織物産業がこの地域の主な産業だった時代、女性が機織りに集中できるように、男性がうどんを打っていました。家族で食べ、街から来た生地の買付人にも出す。やがて評判になった家が自宅を店に改装しました。昔ながらのうどん店が外から見ると個人宅のように見えるのは、そのためです。国土交通省の吉田のうどんの解説
その名残で、うどん店のほとんどは昼だけの営業です。富士吉田市内には吉田のうどんに特化した店が約50軒あるとされます。河口湖でうどんを食べるつもりなら、昼の予定に入れてください。夕方に探しても見つからないことがあります。
店ごとに、すりごまと唐辛子を混ぜた自家製の辛い薬味「すりだね」を持っています。豚肉ではなく馬肉を使う伝統的なつくり方の店もあります。同じ名前の料理でも、店が変われば別物だと思っておくほうがいいでしょう。
富士五湖エリアには、古くから馬肉を食べる文化があります。このあたりは富士山信仰の拠点で、登山者の荷揚げに馬が活躍した土地でした。今も肉屋に赤身の馬刺しが並び、祝い事や宴会で食べられています。町のグルメガイド
居酒屋で「もつ煮」を頼むと馬のもつが出てくることもあります。吉田のうどんに甘辛く煮た馬肉を乗せ、「肉うどん」として出す店も多いとされます。品書きの「肉」が何を指すかは、店に聞いてみてください。
シカ肉も、この町の食材です。富士河口湖町は町内で捕獲されたシカを活用するため2009年に食肉加工施設を整備し、年間およそ150頭から200頭を受け入れて、部位ごとに真空パックして町内外の飲食店へ販売しています。町のシカ肉ジビエの案内
つまり品書きの「ジビエ」は、遠くから運ばれてきた食材ではありません。シカ肉を使ったメニューを出す店は、町のグルメガイドにも載っています。
町は飲食店の一覧を載せた無料のグルメガイドを公開しています。和食、ほうとう・うどん、焼肉・中華、洋食、居酒屋、カフェ、パン・スイーツに分かれていて、地図から探せます。ただし掲載の営業時間と定休日は作成時点のものです。行く日の営業は、その店に確かめてください。町のグルメガイド
観光連盟の食事処の一覧からも店を探せます。こちらも、最後は店の公式で営業時間を見るのが確実です。観光連盟の食事処一覧
順番としては、昼にうどん、夜にほうとう。料理の生まれ方に沿った並びです。逆にすると、うどんの店が閉まっていたり、ほうとうを待つ時間が帰りの便に食い込んだりします。
湖の反対側の店まで足を延ばすなら、周遊バスの時刻も一緒に見ておいてください。河口湖の日帰りは、駅から先を一本のラインに決めるに、駅から先の動き方をまとめています。
別の料理です。ほうとうは塩を使わずに打った幅広の麺を、野菜や肉と一緒に味噌仕立ての汁で煮込みます。吉田のうどんはコシが強い硬めの麺で、味噌か醤油をあわせたつゆにキャベツや肉を乗せます。生まれ方も逆で、ほうとうは家庭の夕食、うどんは仕事の合間の昼食でした。
店によって違うので時間は言えませんが、飲食店では一人分ずつ鉄鍋で煮込んで出すことが多い料理です。席に着いてすぐ出てくるものではありません。帰りの列車やバスの直前に入るのは避けて、食事の時間を先に確保しておいてください。
見つからないことがあります。うどん店のほとんどは昼だけの営業で、これは織物産業の時代から続く習わしです。うどんは昼の予定に入れてください。
具だけでは判断できません。ほうとうの汁は煮干しなどのだしをきかせた味噌仕立てが一般的で、吉田のうどんにも肉が入ります。食べられないものを店に伝えて、だしと調味料まで確かめてください。