Home / mount-fuji / itinerary
富士山MOUNT FUJI
モデルコース · 子連れ

【新宿から1時間53分】富士山は登らない、子連れでめぐる湖と洞窟の一日

mount-fuji, Japan
On this page
  1. 雲と人波は、目覚まし時計でかわせる
  2. 特急に乗れば、寝ている間に湖のほとり
  3. まずは水の上から、湖をわたる20分
  4. 湯気の立つほうとうで、体の芯からあたたまる
  5. 定番の絶景より、ひんやり洞窟の冒険を
  6. 早朝の晴れ間こそ、家族の特等席
新宿から
約1時間53分・直通
列車
特急 富士回遊
拠点
河口湖
対象年齢
4歳以上
ベストな時間帯
晴れた平日の午前
予約
特急は要予約

小さな子を連れて、富士山をいちばん近くで感じたい休日。まず伝えたいのは、山頂は目指さなくていい、ということです。新宿から片道およそ1時間53分、特急に揺られればほとんど乗り換えなしで湖のほとりへ。湖をわたる風、ひんやりの溶岩洞窟、味噌の湯気が立つほうとうと、子連れの富士山は登るより麓をめぐる一日がいちばん気持ちいいんです。

山頂を外す理由は、数字を見るとすぐ腑に落ちます。2024年シーズンに登った人は、およそ204,000人。ならせば1日平均で約2,200人が、山小屋に一泊する行程へ挑みました。2024年からは吉田ルートに1日4,000人の入山上限がかかりました。保全協力金も、2025年には1人4,000円まで。要するに、夏だけ開かれる大人向けの管理された耐久イベント。子連れが向かうのは、その手前の湖畔です。湖に、溶岩洞窟に、花畑に、コトコト走る小さな鉄道。まわる先は、たっぷりあります。拠点さえ間違えなければ富士山は東京発の日帰りでもかなり気楽ですが、外すと片道2時間かけて雲を眺めるだけの一日にもなりかねません。

    雲と人波は、目覚まし時計でかわせる

    家族版のこの旅を左右するのは、天気と混雑のふたつです。富士山は雲に隠れがちで、どんよりした日には遊覧船も展望スポットもほとんど魅力を失ってしまいます。しかも混雑は、じわじわではなく一気に押し寄せます。富士吉田市の春の桜イベントは、わずか一年で来場者がおよそ60,000人から270,000人へ跳ね上がりました。市は約50人の交通整理員を立て、名物の「富士山ローソン」の撮影スポットには、人だかりを散らすための黒い幕まで張ったほどです。

    データを眺めると、少し見方が変わります。子連れのネックは東京からの距離ではなく、雲と混雑——そのどちらもが「早出」を後押ししてくれます。晴れた午前なら、午後のもやより先に、そして遅れて団体で着くバスツアーより先に、富士山をまるごと手にできますよ。その日いちばんお得な一手は、もしかすると目覚ましをかけることだけかもしれません。

      特急に乗れば、寝ている間に湖のほとり

      新宿からは特急「富士回遊」が、河口湖まで約1時間53分・約¥4,130で直通します。全席指定で1日8往復。子連れにとって指定席は、速さのためというより安心のためのものです。乗り換えの段取りも、席の取り合いもいりません。ただし満席なら次の便まで待つことになり、それは疲れた子がいちばん耐えられない「空白の時間」。だからこそ、事前予約を忘れずに。もっと安く行くなら、新宿発の高速バス(約1時間45分、約¥2,000〜2,200)という手もあります。あるいはJR中央線で大月まで進み、レトロな富士急行に乗り換えるルート(約2時間)。線路が山へ向かってぐんぐん登っていく車窓は、電車好きの子にとってちょっとしたごちそうになりますよ。

      河口湖に着いたら、レトロな観光周遊バスが湖畔のスポットをストレスなくつないでくれます。安い一日フリーパスがあれば、乗り降りも気楽なもの。

        まずは水の上から、湖をわたる20分

        はじめは水の上から。河口湖の遊覧船は、起伏のほとんどない約20分のクルーズで、およそ30分おきに出航します。小さな子が動き回れるオープンデッキもあって、足元を気にせず湖の風に吹かれられます。何も難しいことは求められず、晴れた日には船首の正面から富士山がぬっとそびえるごほうびが待っていますよ。まずはこの一本で、旅の助走をつけてみては。

        ここで、2026年の大事な注意点をひとつ。天上山へのぼる「富士山パノラマロープウェイ」は、2026年5月11日から7月15日まで点検のため運休します。うさぎ神社、富士山を望むブランコ、たぬきとうさぎの山頂カフェで出す富士山焼印のみたらし団子。多くの家族向けプランが頼りにするあの短いケーブルカーが、しばらくお休みです。この時期は、閉じたゲートまで子どもを連れて行くより、思いきって予定から外しましょう。晴れた日の代わりには、北岸の大石公園がぴったり。無料で入れて、開けた芝生と、6月中旬から7月中旬に見頃を迎えるラベンダーの帯が、湖ごしに富士山の真向かいへ広がります。走り回る余地はたっぷり、のぼるべき階段はゼロ。花の香りに包まれながら、子どもを思いきり放してあげてはいかがでしょう。

          湯気の立つほうとうで、体の芯からあたたまる

          山梨の飾らない一皿といえば、ほうとうです。かぼちゃや野菜と一緒に味噌仕立ての汁で煮込んだ、平たく太い小麦の麺を鉄鍋のままいただきます。ふうふうしながらほおばると、湯気とともに味噌の香りが立ちのぼって、体の芯からあたたまるやさしい味。取り分けもしやすく、日本の郷土料理のなかでもこれほど子ども向きな一皿はそうありません。いちばん知られているのは「ほうとう不動」で、河口湖周辺に4店舗。子連れなら河口湖駅そばの店が立ち寄りやすく、東恋路店は雲のように白い、洞窟めいた建築で知られています。駅から少し足をのばせば「甲州ほうとう小作」があり、店先の大きな水車が目印です。鴨、きのこ、刺激がほしい大きめの子にはピリ辛のカルビ入りまで、十数種類がそろいます。

          親のどちらかが大人向けの一皿を、というなら「ほうとう蔵 歩成(ふなり)」へ。鮮やかな黄金色のスープが自慢の、ひと工夫きいた上質なほうとうで、昇仙峡のコンテストで実績を持つ折り紙つきです。そして家族にいちばん効くルールは、富士山のまわりならどこでも同じ。とにかく正午前に食べること。というのも、湖畔のカウンター席は、お昼どきからバスの団体でみるみる埋まってしまうからです。開店直後をねらえば、湯気の向こうにゆったりした時間まで手に入りますよ。

            1時間ごとの動きが気になる日に

            晴れた午前の家族プラン

            遊覧船、湖畔の公園、ランチ。雲とバスをかわす順番に組み立てました。

            家族向け午前ルートを開く

            定番の絶景より、ひんやり洞窟の冒険を

            定番の富士山写真といえば、街並みの上にそびえる五重塔、新倉山浅間公園の忠霊塔。富士急行で一駅、下吉田で降りたところにあります。桜と紅葉の季節はまさに圧巻ですが、そこにはおよそ400段の階段がついてきます。小さな子ども連れなら、抱っこか見送りか、少し決断のいる一枚。もっと幼い子への土産話には、じつはもっと不思議で、もっとかっこいい場所があります。鳴沢氷穴と、隣り合う富岳風穴。青木ヶ原樹海のただなかに、太古の富士山噴火が生んだ、歩いてまわれる一対の溶岩洞窟です。足を踏み入れるとひんやりした冷気に包まれて、氷穴は一年じゅう凍ったまま。8月でも、暖かい上着がほしくなりますよ。

            できれば花の見頃に重ねて。本栖湖近くの富士芝桜まつりは、山の裾に約2.4ヘクタール、およそ50万株の芝桜を敷きつめます。2026年はおおむね4月11日から5月24日まで、8:00〜16:00の開催で、見頃は5月最初の3週間ほど。平らで、色鮮やかで、階段は少なく、子どもの目線でも思いきり楽しめる、富士山では希少なスポットです。ただしこの一帯の花イベントは混み方が速いので、平日の午前に組み込むのが賢い選び方。ピンクの絨毯を、春の風のなか家族で端から端まで歩いてみては。

              早朝の晴れ間こそ、家族の特等席

              最後に、親向けのちょっとした裏読みを。富士山を「混みすぎ」に感じさせるものは、一年で4倍にふくらんだ桜イベント、上限のついた登山道、お昼どきにたまるバス。じつはそれこそが、早朝の晴れた時間をこれほど貴重にしている正体なんです。というのも、その時間帯を子連れで奪い合う人は、ほとんどいないから。混雑は絶え間なく続くのではなく、一点にぎゅっと集まっているだけなんです。

              ここからはあくまで見立てですが、この理屈は旅行業者だけでなく、4人家族にもそのまま効きます。需要がこれほど一点に集まり、これほど天気に左右されるなら、晴れた日の早出こそが本当の切符。富士回遊を予約し、雲がわく前に遊覧船へ乗り、正午前にほうとうをすすり、洞窟や花畑はバスが来る時間のために取っておく。そして山頂は、きっぱり見送る。そうすれば子連れの富士山は、本来あるべき気楽な湖の一日に変わりますよ。

                東京発・子連れ日帰りをつなぐ

                次はどこへ?箱根の子連れ日帰り

                同じ「混雑をずらす」考え方で組んだ、箱根の家族向けモデルコース。子連れの一日をシリーズでたどってみませんか。

                子連れモデルコースを読む
                Good to know

                富士山は子連れでも楽しめる? +

                はい、登山ではなく河口湖まわりの「湖の一日」として、たっぷり楽しめます。平らな約20分の遊覧船、無料で花も咲く湖畔の公園、歩いてまわれる溶岩洞窟、のんびりしたレトロ電車。東京発の日帰りのなかでも、家族連れに扱いやすい部類です。気をつけたいのは二つだけ。富士山は雲に隠れやすいので晴れた午前をねらうことと、正午にピークが来る混雑を早出でかわすことですよ。

                子どもでも富士山に登れる? +

                いいえ、子どもの登山はおすすめしません。山登りは山小屋泊を挟むハードな行程で、開かれるのは7〜8月シーズンだけ。2024年からは吉田ルートに1日4,000人の入山上限がかかり、保全協力金も2025年には1人4,000円に達しました。2024年に登った人はおよそ204,000人、その多くが体力のある大人です。家族は麓に、湖や洞窟や花畑にとどめておくのが安心ですよ。

                2026年、富士山のロープウェイは営業している? +

                一部の期間は運休します。天上山へのぼる富士山パノラマロープウェイは、2026年5月11日から7月15日まで点検のためお休み。その間はケーブルカーもうさぎ神社も、山頂の団子カフェも使えません。その時期に出かけるなら、遊覧船、大石公園、溶岩洞窟を軸に一日を組み立ててみては。晴れていれば、富士山はちゃんと近くで待っていてくれますよ。

                東京から子連れで富士山へはどう行く? +

                いちばんシンプルなのは、新宿発の特急「富士回遊」です。河口湖まで約1時間53分・約¥4,130の直通で、全席指定なので事前予約を。もっと安く済ませたいなら、新宿発の高速バス(約1時間45分、約¥2,000〜2,200)か、JR中央線で大月まで行き富士急行に乗り換えるルート(約2時間)も選べます。湖へ向かってぐんぐん登っていく道のりを、子どもはたいてい喜んでくれますよ。