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江ノ島ENOSHIMA
ガイド · 7分で読めます

【新宿から65分】江の島は時間帯で化ける、潮とシラスの半日さんぽ

The Iwaya sea caves beneath the cliffs of Enoshima
On this page
  1. 人出の波と漁の暦、二つの時計を読む
  2. 賢い行き方と、人波に逆らうルート
  3. 地元が名前で通う、シラスの一皿
  4. チェックリストの先で待つ、江の島の本番
  5. 狙うなら、人波が引いたあとの数時間
新宿から
約65分 · 小田急ロマンスカー
運賃
片道 約¥1,400(各停なら¥650)
滞在
半日(鎌倉とセットが定番)
ベストな時間帯
夕方前後/冬のイルミネーション
生シラス
旬は3月11日〜12月31日
予約
不要(フリーパスが得)

近くで、ちゃんと旅した気分になりたい日に、江の島はちょうどいい島です。新宿から片道約65分、橋を一本渡れば、歩いて1時間かからずに端から端まで着いてしまう。焼きタコの匂いが漂う参道は、朝10時なら発見に満ちた小路、昼どきにはただの人の列——同じ一本道が、時間帯ひとつで表情を変えるんです。藤沢市が集めた観光客は過去最高の2019年で約1,929万人、2022年度でも約1,700万人まで戻り、その大半がこの小さな島へ流れ込むのだから、本当の問いは『何を見るか』より、いつ・どの順で回るか。

    人出の波と漁の暦、二つの時計を読む

    人出は、潮の満ち引きにそっくりです。ピークは午前遅めから昼過ぎ。日が傾きはじめると、みんないっせいに橋を渡って引いていきます。ここに、一日の質を決めるひと押しがあるんです。島はおおむね西と南を向いているから、わざわざ来た甲斐を感じる景色は、どれも日帰り客が去りはじめた頃にいちばん冴えます。展望デッキに立つ富士山も、龍を祀る岩屋も、相模湾に落ちる黄金色の光も、みんなそう。

    その足もとで、もうひとつの時計が動いています。漁の暦です。この土地の主役はシラス。生シラスが揚がるのは旬のあいだだけで、おおよそ3月11日から12月31日まで。1月1日から3月10日は禁漁で船は出ず、時化れば旬の最中でもその日の生シラスは止まってしまいます。だから生シラス目当てなら、『あるはず』と決めつけずにその日を確かめること。どの『観光スポット10選』も教えてくれない、いちばん大事な一点ですよ。

      賢い行き方と、人波に逆らうルート

      新宿からなら、小田急ロマンスカー(特急)が片瀬江ノ島駅まで直通で約65分。特急料金込みで片道おおよそ¥1,400です。少しでも安く、なら藤沢で各駅停車に乗り換えて基本運賃約¥650という手も。鎌倉とセットで回るつもりなら、正直、大半の人はそうすべきだと思いますが、往復にレトロな江ノ電の乗り放題まで付く『江の島・鎌倉フリーパス』が便利。区間ごとに切符を買うより、こちらが断然お得です。

      そして、その数字が推すルートは、当たり前の順路の逆を行きます。朝いちで橋を渡ってみんなと上っていくのではなく、午前は鎌倉にあてて、江の島に着くのは昼過ぎ。神社から庭園、岩屋へと島を外へ外へ歩けば、人が引いて光が変わる頃、ちょうど遠い海岸へたどり着きます。これだけ凝縮された島では、人の流れに逆らえるかどうかが、改札で終わるか、一面の海岸線に出るかの分かれ目になるんです。

        地元が名前で通う、シラスの一皿

        江の島の食は、地形からそのまま生まれます。一食を組み立てるなら、軸はシラス。生か、湯気の立つ釜揚げの丼です。名の知れた一軒は、弁財天仲見世通りの『とびっちょ』。シラスの卸元が営むだけあって、生も釜揚げも丼で味わえる人気店で、混む日には行列が2時間近くまで伸びることも。だからこそ、正午をずらして訪ねる理由になります。シラス丼はだいたい¥1,000〜1,800が目安ですよ。

        同じ水揚げを、もっと静かに味わう手もあります。三代続く『江之島 春夏(はるみ)』は、地物のシラスとサザエを卵でとじてご飯にのせた名物『江の島丼』の一軒。島の反対側、断崖の上には老舗『魚見亭(うおみてい)』が構え、相模湾を見下ろす屋外テラスで、潮風ごと海の幸を頬張れます。皿と同じくらい、眺めが仕事をしてくれる席ですよ。座って食べるより歩きながら、なら参道入口近くの『あさひ本店』へ。タコを丸ごとプレスした名物『たこせんべい』の焼ける香ばしい匂いは、鳥居にたどり着く前から、もう参道の景色の一部になっています。

          順番で迷いたくない日に

          時間割つきの江の島+鎌倉モデルコース

          立ち寄り先も、歩く時間も、混雑データが推す回る順番まで、ぜんぶこちらで組んであります。

          モデルコースを開く

          チェックリストの先で待つ、江の島の本番

          江の島は、最初の展望スポットで足を止めない人にこそ応えてくれます。島の背骨は、江島神社への参詣。海・財・芸を司る女神、弁財天を祀る三社からなり、辺津宮には名高い『江島弁天』が鎮座します。上りは急ですが、有料の屋外エスカレーター『江の島エスカー』に乗れば、4分ほどで大半を運んでもらえます。さらに高みへ進むと、空にせり出す展望灯台『江の島シーキャンドル』。高さ59.8mは、民間の灯台として日本最大級です。足もとに広がるのは、1882年にイギリス人商人が開いた10,000平方メートルの『サムエル・コッキング苑』。澄んだ日の展望デッキからは、富士に三浦半島、大島までひと続きに見渡せますよ。

          遠い海岸まで歩き進めると、島は遊園地めいた顔をそっと脱ぎます。波が岩棚を洗う稚児ヶ淵を過ぎれば、崖下に穿たれた海食洞『岩屋洞窟』。第一岩屋には仏像と社が祀られ、第二岩屋は伝説の龍に捧げられています。冬になると、島はまた別の顔になるんです。『湘南の宝石』と呼ばれるイルミネーションが、おおよそ11月下旬から2月の中旬〜下旬まで、シーキャンドルと苑を中心に灯り、日本を代表する光の祭典に数えられます。1月のチューリップ畑も、静かな見どころのひとつ。そして忘れてはいけないのが江ノ電そのもの。海と小さな電車が出会う鎌倉高校前の踏切は、『スラムダンク』があの一枚で有名にした、まさにその構図です。

            狙うなら、人波が引いたあとの数時間

            最後に、少し天邪鬼な読みを。あくまで編集部の見立てですが——江の島の混雑は、島の欠点ではありません。東京から1時間、年に1,700万〜1,900万人が同じ潮で来ては帰る、記録的な日帰りの島だからこその、時間割のいたずらなんです。だとすれば、いちばんいい時間は決まってきます。日没前の最後の数時間、冬のイルミネーションが灯る夜、季節を少し外した平日。どこも、その良さのわりに人がいません。やることはシンプル。午前は鎌倉、午後に橋を渡り、帰っていく波に逆らって岩屋まで外へ歩く。それだけで島は、パンフレットが売っているあの海岸線へと組み変わります。水平線に富士、背中でたこせんべいが焼ける音、黄金色に染まる湾、そして人の波はもう帰りの電車の中。次の晴れた休日、この順番で歩き出してみてはいかがでしょう。

              Good to know

              江の島観光にはどれくらい時間が必要ですか? +

              島だけなら半日で十分。江島神社、シーキャンドルとサムエル・コッキング苑、岩屋洞窟、そしてシラス丼のお昼まで、ぐるりと回れます。江ノ電で鎌倉から10分ほどですから、多くの人は二つをまとめて丸一日にします。午前は鎌倉の寺社、午後は江の島と湾に沈む夕日、という組み立てが定番ですよ。

              江の島は行く価値がありますか? +

              あります。ただし、時間帯だけは味方につけて。日帰りの人出がとても多く、藤沢市は2019年に約1,929万人を記録したほど。昼どきの参道は行列のように感じられます。午後に着いて、人が引く頃に岩屋まで歩き、夕日まで粘る。そう組めれば、東京近郊でも指折りの半日になりますよ。

              生シラスはいつ食べられますか?また混雑はいつ避けるべき? +

              生シラスの旬は、おおよそ3月11日〜12月31日(1月1日〜3月10日は禁漁)。時化ればその日の生は止まるので、当てにする前にひと確認を。混雑は、平日の午後がいちばん穏やかです。11月下旬〜2月中旬・下旬の冬のイルミネーションは夕暮れどきこそ混みますが、その分の見応えは格別ですよ。

              江の島へのアクセスと費用は? +

              新宿から小田急ロマンスカーで片瀬江ノ島まで約65分、片道おおよそ¥1,400。各駅停車なら藤沢乗り換えで約¥650です。鎌倉とセットにするなら、『江の島・鎌倉フリーパス』が往復と江ノ電乗り放題までカバーして、たいてい元が取れます。