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江ノ島ENOSHIMA
結論 · 行く価値はあるか

江の島観光は行く価値ある?訪れる前に「潮の流れ」を読む

The Enoshima Sea Candle lighthouse observation tower rising above the island
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  1. 潮のように満ちて、潮のように引く
  2. 流れに逆らうほど、得をするルート
  3. しらすは、海と地続きの一皿で
  4. 歩くほどに、島がほどけていく
  5. 混むのは欠点ではなく、時刻の問題
新宿から
約65分 · 小田急ロマンスカー
片道運賃
約¥1,400(各停なら¥650)
滞在
半日(鎌倉とセットが好相性)
おすすめの時間帯
夕方/冬のイルミネーション
生しらす
解禁期間中(3月11日〜12月31日)
予約
不要(フリーパスは買う価値あり)

近くでちゃんと旅した気分になりたい週末に、江の島はよく効きます。新宿から約65分、片道は各停なら¥650、ロマンスカーでも¥1,400ほど。橋を渡ると潮の匂いにふわりと包まれ、焼きタコの煙が漂う参道が、海へ向かってまっすぐ続いていきます。行く価値はあるか。答えはイエス、ただし鍵は距離ではなく「何時に渡るか」です。

場所そのものは文句なしに良い。三社をめぐる参拝、富士を望む59.8mの展望灯台、崖の下に伸びる海蝕洞、夕暮れに黄金色へ染まる湾。それが日帰りで届く距離にあります。ただ、この小さな陸繋島には人も集まる。藤沢市は記録的だった2019年に約1,929万人を集め、うち外国人は約80万人、FY2022でも1,700万人近くまで戻りました。その大半がたった一本の橋を渡り、端から端まで1時間かからず歩ける島へ流れ込む。だから問いは二つ。場所そのものが良いか、そして、その規模が招く混雑をかわす時刻を選べるか。

    潮のように満ちて、潮のように引く

    ここの人出は、じわじわではなく潮のように一気に満ちます。1時間先の大都市が客を送り込む、圧倒的に日帰りの島。流れは午前遅めから午後半ばにふくらみ、日没前には橋を渡ってすっと引いていく。焼きタコの香ばしさが漂い、午前10時にはまだ発見のように静かな弁財天仲見世通りも、昼どきにはのろのろの行列に変わってしまいます。

    データを重ねると、見方が少し変わります。手ごわいのは場所ではなく、時計とカレンダーのほう。わざわざ来る価値のある景色は、ちょうど日帰り客が帰りはじめる時間帯にピークを迎えます。シーキャンドルの展望デッキから望む富士、対岸の龍の洞窟、相模湾に落ちる光。そしてもう一つの時計もありますよ。生しらすが水揚げされるのは、おおむね3月11日から12月31日まで。1月1日から3月10日は禁漁で船は出ず、しけの日はいつでも漁が止まります。生しらすが目的なら、その日のうちに確認するのが正解。どんなチェックリストも、そこまでは教えてくれません。

      流れに逆らうほど、得をするルート

      新宿からは小田急ロマンスカーが片瀬江ノ島駅まで直通で約65分、特急料金(約¥750)込みで片道およそ¥1,400。安く上げるなら通常の小田急線、基本運賃約¥650で藤沢乗り換え。時間はかかりますが、浮いた分をしらす丼(おおむね¥1,000〜1,800)に回せますよ。鎌倉と組むなら、江の島・鎌倉フリーパスが往復に加えて、海沿いを走る江ノ電(レトロな車両)の乗り降り自由までひとまとめにしてくれます。

      数字がすすめるルートは、王道とは逆を行きます。朝いちで渡ってみんなと一緒に登るのではなく、午前は鎌倉に充て、江の島入りは昼過ぎ。島を外側へ、神社、庭園、洞窟とたどり、人波が薄れて光が変わる頃に対岸へ着くように組む。終始、流れに逆らって歩くわけですが、これほど凝縮された島では、それが「改札の混雑」と「黄金色の海岸線」を分ける差になります。

        しらすは、海と地続きの一皿で

        江の島を訪れる価値の一部は、働く海と地続きの一皿に宿ります。ご飯にのせた、生または釜揚げのしらす。有名どころは弁財天仲見世通りのとびっちょ。しらすの卸が営む店で、生・釜揚げ両方の丼を出し、混む日には行列が2時間近くに伸びるので、ピークを外して行くほど報われます。静かに味わいたいなら、三代続く江之島はるみへ。地元のしらすとサザエを卵でとじた「江の島丼」で知られる一軒です。

        島の奥、対岸には老舗の崖上レストラン魚見亭。相模湾を見下ろす屋外テラスで、潮風とともに海の幸を味わえます。眺めが皿と同じくらい働いてくれる店で、ちょうど午後ルートが連れていってくれる場所に建っている。食べ歩きなら、参道近くの旭本店。タコを丸ごとプレスした名物のたこせんべいが看板で、その焼ける匂いは、門にたどり着く前から通りの表情そのものです。

          行く、と決めたら

          鎌倉とセットで、時間を組んで

          午前はお寺、締めは島の洞窟と湾の夕日。混雑とは逆向きに順番を組んでみては。

          鎌倉との合わせルートを見る

          歩くほどに、島がほどけていく

          シーキャンドルは、誰が撮っても同じように写ります。江の島の本当の魅力は、歩き続けるほどに島がほどけていく、その過程のほうに宿る。島は江島神社の参拝を軸に成り立っていて、海・財・芸の女神である弁財天を祀る三社からなり、辺津宮(へつみや)には名高い江島弁天があります。登りは急ですが、有料の江の島エスカー(エスカレーター)に乗れば、約4分で大半を上がれますよ。さらに高みには、高さ59.8m、日本最大級の私設灯台のシーキャンドル。1万平方メートルのサムエル・コッキング苑のなかに立ち、英国人商人サムエル・コッキングが1882年に拓いた庭です。晴れたデッキからは、富士も三浦半島も大島も一望に収まります。

          そのまま対岸まで進むと、島は遊園地めいた賑わいからそっと離れていきます。岩がちな稚児ヶ淵(ちごがふち)の磯を越えれば江の島岩屋へ。崖の下に刻まれた海蝕洞で、第一洞には仏像と祠、第二洞は伝説の龍に捧げられています。冬には趣が一変。「湘南の宝石」イルミネーションが、おおむね11月下旬から2月中旬〜下旬にかけて、シーキャンドルと庭園を中心に灯り、1月にはチューリップ畑も見どころです。そして江ノ電そのものも旅の一部。鎌倉高校前の踏切、小さな電車が海と出会うあの場所は、『スラムダンク』が有名にしたあの一枚です。

            混むのは欠点ではなく、時刻の問題

            ここで、天邪鬼な読み方を一つ。江の島を「過大評価」に感じさせるあの混雑は、島の欠点ではありません。東京から1時間、記録的な集客力を持つ日帰りの島——年1,700〜1,900万人が同じ潮に乗って来ては帰る——ゆえの、スケジュールの副産物なんです。だから取り残されるのが、ピークを外した「肩」の時間。日没直前の数時間、冬のイルミネーションの夜、シーズンオフの平日。どれも、その良さのわりに驚くほど人が少ない。

            まだ仮説ですが、理屈は通っています。これほど密度が高く、これほど時間に縛られた島では、何時に行くかこそが本当のチケット。午前は鎌倉、午後に江の島へ渡り、引いていく流れに逆らって洞窟まで外へ歩く。すると島は、ガイドブックが売り込むあの海岸線へと組み直されます。水平線に富士、背後でたこせんべいが焼け、群衆はもう帰りの電車のなか、湾は黄金色に染まっていく。そうやって歩けば、「江の島観光は行く価値あるか」はもうコイントスではなく、東京近郊で指折りの良い半日になりますよ。

              Good to know

              江の島観光は行く価値ある? +

              東京近郊の人の多くには、答えはイエスです。三社をめぐる登り、富士を望む展望灯台、龍の海蝕洞、湾の夕日が、新宿から約65分の距離に。正直な注意点は混雑で、藤沢市は2019年に約1,929万人を記録しており、昼どきの参道は行列に感じられます。午後に訪れ、客が帰っていくなかを洞窟まで歩き、夕日まで粘る。そうすれば、東京近郊で指折りの良い半日になりますよ。

              江の島に行かない方がいいのはどんな人? +

              一か所で丸一日ゆっくりしたいなら、江の島はやや弱い選択かもしれません。基本は半日の島で、江ノ電で10分の鎌倉とセットにするのがベスト。曇りで眺望のない予報なら、魅力の多く(富士、湾、夕日)もそれと一緒に消えてしまいます。有料の江の島エスカー(エスカレーター)を使わない限り、急な登りも無視できない要素です。

              最悪の混雑を避けるには、いつ行けばいい? +

              いちばん落ち着くのは平日の午後。日没直前の数時間は、日帰りの潮が橋を渡って引いていくため、最も静かで最も絵になります。冬の「湘南の宝石」イルミネーション(11月下旬〜2月中旬/下旬)は夕暮れに混みますが、それでも圧巻。できれば週末の昼どきの参道は避けてみては。そこがのろのろの混雑のピークです。

              江の島の1日にいくらかかる? +

              新宿からロマンスカーで片道およそ¥1,400(または通常の小田急線で藤沢乗り換えなら¥650)、これにしらす丼が約¥1,000〜1,800、シーキャンドルや岩屋の入場料が少々。鎌倉とセットにするなら、江の島・鎌倉フリーパスが往復と江ノ電乗り降り自由をカバーし、たいてい元が取れます。