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日光NIKKO
日帰り · 丸一日

【東京から約1時間50分】日光 日帰り、多くの人が見ない「もう半分」の歩き方

Nikkō Tōshō-gū shrine, Nikko
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  1. 数字が語る、この一日の姿
  2. スペーシアとエリアパスで、身軽に発つ
  3. 地元の人が、ほんとうに通う一皿
  4. 社寺の門の先で待っている、もう一つの日光
  5. 誰も選ばない半分に、あえて賭ける
東京から
約1時間50分
路線
東武スペーシア(浅草発)
スペーシア運賃
片道 約¥2,700
きっぷ
東武 日光エリアパス
ねらい目
早朝の列車/10月の紅葉
選ぶ
社寺か、山か

どこか遠くへ旅した気分になれるのに、夜にはちゃんと東京の布団に戻れる、日光はそんな一日を叶えてくれる町です。浅草から東武スペーシアで片道 約1時間50分、運賃は片道 約¥2,700ほど。杉並木の匂いをくぐって歩き出せば、そこはもう世界遺産です。ただ、コロナ前で年間およそ10万人の外国人が訪れたこの町でも、その多くは駅と東照宮のまわりだけで一日を終えてしまうんです。

たいていのガイドは、この日帰りを「社寺か、山か」の一択に落とし込んで話を終えます。面白いのは、着いた人が実際にどこへ向かうかという数字のほう。多くが日帰りで来て東武日光駅と東照宮の一帯にかたまり、その先の奥日光——山を少し上ったところにある湖・滝・湿原——までは足を延ばしません。東照宮そのものが2020年、トリップアドバイザーの外国人に人気のスポットで7位。人がどこに集中しているかが、そのまま順位に表れています。だから本当の問いは、日光が一日の価値があるかどうかではないんです。この土地は静かに二つの目的地に分かれていて、日帰り客の流れはすでに圧倒的に片方へ投票している。「社寺か山か」は好みの問題ではなく、群衆がどちらの半分を空けてくれたか、という問題に変わります。

    数字が語る、この一日の姿

    データを並べると、景色の見え方が少し変わります。到着した人の多くが社寺の一帯から先へ進まないのなら、世界遺産の区域(東照宮、輪王寺、二荒山神社、どれも徒歩圏)がほぼすべての来訪者を受け止め、奥日光はあふれた分だけを吸い込んでいることになります。この偏りは、制約であると同時にチャンス。社寺エリアは密で、絢爛で、午前中から本当に混み合います。いっぽう、いろは坂を上った山側は、紅葉の見頃の週末でさえ、驚くほど静かなままなんです。

    そして数字は、日帰りの時間割も正直にします。片道 約1時間50分、往復で四時間近く。だから現地で自由に使えるのは、およそ6時間です。片方をじっくり回るには十分でも、両方をゆっくりとはいきません。社寺も中禅寺湖も滝も一日に詰め込もうとするのが、いちばんありがちなつまずき。いろは坂のバスを気にして急ぎ、どこも上澄みだけをなぞり、行列に二度並ぶ、それはもったいない使い方です。

      スペーシアとエリアパスで、身軽に発つ

      浅草から、東武特急スペーシアけごんが東武日光駅まで直通で約1時間50分。特急料金込みで片道 約¥2,700、座席は指定制です。平日でおよそ6本、週末は7本、さらに同じ路線を新型のスペーシアXも走るので、秋は早朝の列車から先に埋まっていきます。ここで指定席が効くのは、速さと同じくらい「7:30〜8:00の出発を、乗り継ぎを気にせず確約できる」こと。使える時間が6時間しかない日には、その一点がすべてなんです。

      乗る前に、浅草の窓口で東武 日光エリアパスを買っておきましょう。往復の乗車と、現地で必要になるバスがセットになった一枚です。山を選ぶなら、このバスは省けません。滝も中禅寺湖も、いろは坂のつづら折りを上らないと届かないからです。パスはバスで上って下りればだいたい元が取れますが、運賃以上に大きいのは、切符の列を一つ消してくれること。時間こそが希少で、お金ではない日には、その身軽さがきいてきますよ。

        地元の人が、ほんとうに通う一皿

        日光の正直な一皿は湯波(ゆば)。精進料理が町の名物へと育てた、繊細な豆腐の膜です。多くの日帰り客が、社寺の門へ急ぐ途中で素通りしてしまう味でもあります。東武駅と社寺エリアに近い老舗、元祖 日光ゆば料理 恵比寿家は、湯波を日光の名物へ押し上げたと言われる店。それ自体で一食になる湯波懐石が、静かな座敷でゆっくりと供されます。もっと気軽にのぞきたいなら、普段懐石 和み茶屋へ。昔ながらの気取らない家屋で、月替わりの本格的な湯波懐石を手頃な値段で味わえます。腹をくくって、というより興味本位で、という人にはこちらが入口に向いていますよ。

        もう少しボリュームがあって、儀式ばらないものなら。餃子の梅ちゃんは、地元の人が並ぶ家族経営の人気店です。名物の巨大な「梅ちゃん餃子」と、日光ゆば餃子で知られます。もし一日が山へ上がるなら、中禅寺湖のほとりのつるや湯波へ。定番の揚げ湯波や湯波の吸い物に、食べごたえのある湯波カレーが加わり、駅周辺の店では望めない湖の眺めまでついてきます。湯気の向こうに水面が光る、それだけで、同じ湯波が少し違う味に思えてくるはずです。

          時間ごとの段取りまで知りたいなら

          日光の早い朝

          片方に絞って、ツアーの団体より先に東照宮か滝へ。着く順番だけを、時間で並べました。

          朝のルートを開く

          社寺の門の先で待っている、もう一つの日光

          山側を選ぶなら、いろは坂はどこかへ着くための道ではなく、それ自体が体験です。48のヘアピンカーブが、一つずつ古典「いろは歌」の一字を名に負って、中禅寺湖と奥日光へと上っていきます。頂上近くの明智平ロープウェイは、わずか3分の空中散歩(およそ15分間隔で運行)。標高1,373メートルの展望台に立てば、華厳の滝も、湖も、男体山も、一枚の視界におさまります。往復は 約¥750。営業はおよそ09:00〜16:30、木曜がお休みです。日本一標高の高い自然湖である中禅寺湖は、華厳の滝から歩いて10分。かつて男体山の溶岩がせき止めて生まれた水面を、遊覧船がゆっくり渡っていきます。

          歩いていると気づきます。ここからが、日帰り客のほとんど見ない半分なんです。戦場ヶ原の湿原は、標高およそ1,400メートル、約400ヘクタールのラムサール条約登録湿地。350種を超える植物が息づく、生きものの原っぱです。湖と湯元温泉のあいだをつなぐ平坦な木道のループが、約6km、二時間半から三時間ほど続きます。9月下旬には草が金色に染まりはじめ、10月がピーク。カラマツとカエデが、いっせいに燃え上がります。途中、竜頭から湯滝への森歩きは日光屈指の紅葉を縫って進み、竜頭之茶屋が滝を見下ろします。冷たい水と松の匂いが流れ、はるか二千フィート下で社寺の行列が伸びていくあいだも、この木道は静かなままです。

            誰も選ばない半分に、あえて賭ける

            ここからは、少し逆張りの読みです。日光が「消費されている」と感じさせるもの、つまり駅と東照宮のまわりの重い人だかりこそが、じつは山側をとりわけ豊かにしています。群衆がもう先に選んでくれて、しかも逆の方を選んでくれているからです。ここでの人の集まりは、時間帯だけでなく地理にも尖っています。社寺の一帯にたまり、いろは坂を上るほどに、すうっと薄れていくんです。

            まだ仮説の段階ですが、筋は通っています。目的地が人気の半分と見過ごされる半分にきれいに割れるとき、日帰りが本当に報われるのは、見過ごされた側のほうです。初めての訪問で、あの彫刻を目当てに来たのなら、社寺を、それも朝いちばんで回りましょう。けれど東照宮はもう見た、あるいは10月の色を追いかけている。そんな人は、早朝のスペーシアに乗って、つづら折りをまっすぐ上ってしまいましょう。木道の空いているところで6時間を使えば、午後の群衆が決してたどり着かない、東京からの日光 日帰りの「もう半分」を歩いたことになります。まだ誰にも消費されていない、静かな半分を。

              Good to know

              東京から日光は日帰りで行く価値がありますか? +

              あります。ただし早めに出発して、片方に絞るのが条件です。東照宮の社寺一帯か、いろは坂を上った先の滝・湖・湿原か、どちらかを選びましょう。東武スペーシアで片道 約1時間50分、丸一日がかりで、現地に使えるのはおよそ6時間ほど。両方を急がず回りたいなら、一泊するのが正解ですよ。

              東京から日光へのアクセスは? +

              浅草から東武特急スペーシアけごんに乗れば、東武日光駅まで直通で約1時間50分。特急料金込みで片道 約¥2,700、座席は指定制です。滝や中禅寺湖に必要な現地のバスと列車は、東武 日光エリアパスにまとめておくと身軽ですよ。

              社寺と山、どちらを回るべき? +

              現地の6時間できちんと回れるのは、片方だけです。彫刻を目当てに来た初めての人なら、世界遺産の社寺一帯(東照宮、輪王寺、二荒山神社)を、午前の混雑より前に早めがおすすめ。すでに社寺を見た人や、秋の紅葉を追う人は山側へ。明智平ロープウェイ、華厳の滝、中禅寺湖、そしてずっとすいている戦場ヶ原の木道が待っています。

              日光を訪れるベストシーズンは? +

              できるなら10月です。戦場ヶ原の草は9月下旬から金色に染まり、カラマツとカエデは10月にピーク。山側がいちばん見事になる季節です。ただし、いろは坂は紅葉ピークの週末に渋滞するので、早い列車で上って、午後の混雑より前に下りるのがコツ。紅葉シーズン以外なら、平日の午前中が社寺一帯をゆったり保ってくれますよ。