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高尾山MOUNT TAKAO
モデルコース · 半日〜終日

高尾山のモデルコースは「地図」より「混雑数字」で組む

mount-takao, Japan
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  1. 混雑データが、一日の中身を決める
  2. 新宿から¥430、この近さがずるい
  3. 地元が実際に通う、山のそば
  4. 山頂の一枚で終わらせない、下山の楽しみ
  5. 空いている時間は、こんなに使われ残している
新宿から
約50分
路線
京王線特急・直通
運賃
¥430(片道)
登り
ケーブルカー+1号路
ねらい目
平日・9時前
予約
不要(護摩は申込あり)

近くて、それでいて『ちゃんと山を歩いた』と言える一日を、高尾山はいちばん気軽に叶えてくれます。新宿から特急でおよそ50分、片道たったの¥430、改札を出れば杉と土の匂いにふわりと包まれます。そのくせ、世界でいちばん登られている山とも言われる場所。その数は年間およそ300万人、朝日新聞は最大でおよそ400万人とも伝えています。

だからこの山では、『どのルートを歩くか』より『いつ行って、どの道で下りるか』で一日の質がほぼ決まります。混雑は一日のなかだけでなく、季節でも大きく揺れる。ピークは紅葉の11月中旬から12月下旬、なかでも11月後半はその年でいちばん混みます。人気は偶然ではありません。2007年にミシュラン・グリーンガイドが三つ星を与えて以降、来訪者はぐっと増えました。だからこのモデルコースは、データが指し示すとおりに組みます。有名な登りは早朝のうちに片づけ、静かな下山道とゆっくりの昼食は、ほかのみんながまだ1号路をじりじり登っている時間のために取っておく。そういう設計です。

    混雑データが、一日の中身を決める

    高尾山は、どこまでも『半日の山』です。新宿から近すぎるせいで、みんな少し長めの午前の用事のように扱う。だから混雑が一点にぎゅっと集まります。同じ電車で午前に着いて、午後遅くには潮が引くように帰っていく。年間300万人をならせば、混んではいても歩ける平日になりますが、11月中旬の土曜の1号路はまるで別の山ですよ。ケーブルカーの出口から山頂近くまで、のろのろと続く一本の行列。明治の森高尾国定公園の森はほんとうに気持ちいいのに、ピークの週末は、その大半を『前の人の背中』として眺めることになってしまいます。

    歩いていると、一日がカレンダー次第でくっきり割れるのがよくわかります。山頂はやや早く11月上旬に色づき、斜面はおおむね11月中旬から12月上旬にピークを迎える。目玉の紅葉と目玉の混雑が、同じ窓にぴたりと重なるわけです。こちらが握れる唯一のレバーは、出発時刻。始発に近いケーブルカーに乗れば、急で細い区間をまだ半分空いているうちに歩けます。11時に着けば、行列ごと引き継ぐことになりますよ。

      新宿から¥430、この近さがずるい

      新宿からは、京王線の特急が終点・高尾山口まで乗り換えなしでおよそ50分、¥430。この値段は、じっくり噛みしめる価値があります。東京発の本格的な日帰りとしては最安級で、年間300万人を吸い込む理由のひとつが、まさにここ。ケーブルカーで上がるつもりなら、京王の『高尾山きっぷ』が京王線の乗り放題とケーブルカーまたはリフトの片道券をセットにしていて、バラ買いよりおよそ20%お得ですよ。

      登りの主役は、高尾登山ケーブルカー。1,000メートルの線路を、ぐいぐいと約270メートル分も持ち上げてくれます。最大勾配は31.18度、これが日本一の急勾配です。その斜面を、わずか6分ほどで駆け上がってしまう。山上駅を出れば舗装された1号路がすぐ始まり、薬王院を抜けて山頂へと続きます。混雑に賢い一手はシンプルで、朝のうちに1号路を頂上まで歩き、帰りは下り客とぶつかる同じ道ではなく、もっと静かな道で下りること。それだけで一日の印象が変わりますよ。

        地元が実際に通う、山のそば

        高尾山のいちばん正直な一品は、とろろそば。そば粉の麺に、すりおろした山芋をとろりとまとわせた一杯です。これは観光向けの小細工ではなく、れっきとした巡礼の食。栄養たっぷりの山芋が薬王院への登りを支えてきたそうで、習わしの起源は寺そのものにあります。基準になる一軒は、駅とケーブルカー清滝駅のあいだの参道に立つ高橋家。1836年から続く老舗で、長芋と大和芋をブレンドしたとろろは別の器で供され、うずらの卵ととんぶりが添えられます。見上げれば、樹齢100年をゆうに超える柿の木が天井を突き抜けて伸びていて、待つ時間まで名物のよう。昼食を少し早めか遅めにずらせば、行列の大半はするりとかわせますよ。

        もう少し意外な一杯を探すなら、薬王院の参道沿いの茶屋・栄茶屋へ。1930年代初めから続く店で、看板は自然薯です。栽培ものより香りが立って、粘りも濃い。本物の山芋ならではの滋味に、思わず唸ってしまいます。連れに植物性中心の人がいれば、高尾山スミカのそば処を。国産100%のそば粉を使う、山中では数少ないヴィーガン対応の一軒ですよ。

          山頂の一枚で終わらせない、下山の楽しみ

          高尾山を『ケーブルカーと眺めだけ』で終わらせたくないなら、いちばん時間をかけたいのは下山です。おすすめは6号路、びわ滝コース。沢沿いを下る未舗装の自然道で、舗装された1号路よりずっと涼しく、日陰が多く、驚くほど静か。途中に売店もトイレもないぶん、聞こえてくるのは水音と鳥の声だけです。入口はケーブルカー清滝駅の左手、沢沿いの道から。雨あがりは滑りやすいので、足元はきちんとした靴で。舗装と人混みを、流れる水と木漏れ日に取り替える。同じ道を戻らず、別の顔で下りる意味は、まさにそこにありますよ。

          寄り道の価値がある場所が、もう二つ。744年創建で高尾山の信仰の核・薬王院では、僧侶が本堂で毎日およそ30分の護摩の火の儀式を営みます。申し込みはおおむね午前8時半から午後4時まで。山頂写真組の多くは、その炎の前を素通りしていきます。もうひとつは、山上のケーブルカー駅から歩いて3分の高尾山さる園・野草園。約90頭のニホンザルと約300種の野草を、同じ券でのぞけます。子ども連れにも、いちばん混む山頂の時間をそっとやり過ごすにも、ちょうどいい立ち寄り先ですよ。

            時間が足りない?

            凝縮した半日ルート

            同じ混雑の読み方を、要点だけに凝縮しました。

            半日ルートを開く

            空いている時間は、こんなに使われ残している

            ここからはまだ確かめきれていない見立てですが、数字が何度もこちらの背中を押してきます。高尾山は『午前の用事』として時間が設計されていて、そのリズムのすき間こそ狙い目になる、と。年間300万人の多くは同じ昼前の電車で着き、午後の半ばには帰っていく。だから始発のケーブルカーと夕方の最後の光は、その良さのわりに、いつも使われ残しています。季節でみても理屈は同じ。紅葉は11月後半に最悪の混雑とともにピークを迎えますが、山頂はその一、二週間早く色づきます。つまり11月上旬の平日なら、見どころの大半を、混雑のごく一部で手に入れられるわけです。夏になると山の台本はまるごと裏返り、山上駅近くのビアマウントが、ハイキングの丘を関東平野の夜景を見渡す外出に変えてしまいます。個人的には、高尾山モデルコース最大の裏技は、どの道を選ぶかではないと思っています。どの時間を、どの週を自分のものにするか。結局はそこですよ。

              Good to know

              高尾山のモデルコースは半日で足りますか? +

              多くの人には、じゅうぶん足ります。新宿から京王線の特急直通で片道およそ50分、急な登り出しはケーブルカーがまるごと省いてくれます。標高599メートルの山頂までは、山上駅から1号路で1時間もかかりません。ゆったりした半日で、ケーブルカー、薬王院、山頂、そばの昼食まで回れますよ。沢沿いの下山道を足せば、そのまま終日コースに。ここで効いてくる制約は、距離ではなく混雑のほうです。

              最悪の混雑を避けるには、いつ行くべきですか? +

              平日は週末より断然すいていて、なかでも始発のケーブルカーが何より効きます。いちばん混むのは、紅葉がピークを迎える11月後半。色づきは楽しみつつ混雑は抑えたいなら、山頂は斜面より少し早く染まるので、11月上旬の平日を狙ってみてください。紅葉シーズンを外せば、高尾山の平日の朝は、拍子抜けするほど快適ですよ。

              高尾山の一日はいくらかかりますか? +

              驚くほど安く上がります。電車は新宿から片道¥430、京王の高尾山きっぷなら、京王線の乗り放題とケーブルカーまたはリフトの片道を、バラ買いよりおよそ20%お得にまとめられます。とろろそばの昼食と、気になる施設の入場料を足しても、一人あたり数千円台の前半におさまるはず。ここで足りなくなるのは、お金よりむしろタイミングのほうですよ。ケーブルカーの運賃は、当日に最新のものをご確認ください。

              ケーブルカーで上がるべきか、歩いて登るべきか? +

              多くの人には、ケーブルカーがおすすめです。最大勾配31.18度は日本一の急勾配で、約270メートルをおよそ6分。登りでいちばんキツい部分をまるごと預けて、脚は山のいい所のために取っておけます。混雑に賢いのは、まず上がって舗装された1号路を朝のうちに山頂まで歩き、帰りはより静かな未舗装の6号路を沢沿いに下りる形。高尾山のまったく違う二つの顔を、ひと回りで味わえますよ。