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高尾山MOUNT TAKAO
ガイド · 7分で読めます

【新宿から50分】高尾山でやりたいこと完全ガイド〜混雑データで読み解く、静かな高尾の歩き方〜

mount-takao, Japan
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  1. 混雑は、ほとんど秋に寄っている
  2. 登り方ひとつで、同じ山が違う顔になる
  3. とろろそばは、店の名前で選びたい
  4. チェックリストの、その先へ
  5. いちばん静かな高尾は、肩の時間にいる
東京から
約50分・京王特急
運賃
片道¥430(乗り換えなし)
滞在
半日
山頂
599m、晴天なら富士山
ベストシーズン
紅葉は11月中旬/早朝は通年
予約
不要(薬王院の護摩は現地申込)

週末に遠出はしたいけれど、電車を乗り継いでくたびれるのは避けたい——そんな日にちょうどいい山です。新宿から京王線で乗り換えなし、片道¥430、50分後にはもう標高599mの登山口に立っています。朝いちばんの杉木立へ入ると、ひんやりした空気が首すじをなでて、人の気配がすっと遠のきます。年間およそ300万人、朝日新聞を引く資料では400万人とも言われる「世界で最も登られる山」とは、とても思えない静けさ。

    混雑は、ほとんど秋に寄っている

    まず押さえたいのは、高尾山では何をするかがあまり問題にならない、ということ。ケーブルカーも薬王院も、とろろそばも富士山の眺めも、行けばぜんぶ目の前にあります。効いてくるのは、いつ、どのルートで登るか。同じ一本の森の道が、朝9時なら自分だけの発見のように静まり、11月の日曜の正午には通勤ホームのように埋まるのですから。人気に火がついたのは、意外と最近のことです。転機は2007年、ミシュラン・グリーンガイドがこの一帯を三つ星に選んだ年で、多くの解説がこの瞬間を分かれ目に挙げます。そして押し寄せる人波は、季節にぐっと偏っています。ピークは紅葉(こうよう)を背に11月中旬から12月下旬、なかでも11月後半が一年でいちばん混む時期。色づきは山頂が11月上旬と早めで、山麓は少し遅れてやってきます。300万人はあくまで年間の平均で、よく晴れた11月下旬の週末ともなれば、ケーブルカーの行列だけで1時間は溶けます。この偏りこそ、狙いどころ。高尾山を心から楽しんでいる人は、平日の午前か、ケーブルカー始発直後の1時間を本番と決めて、混み合う日中はそば屋でゆっくり過ごしているんです。

      登り方ひとつで、同じ山が違う顔になる

      アクセスは拍子抜けするほど簡単で、これだけの人が集まる理由もそこにあります。新宿から京王線の特急が終点・高尾山口まで直通で約50分、片道¥430、乗り換えは一度もありません。登りに乗り物を使うなら、京王の「高尾山きっぷ」が便利。京王線が乗り放題になって、ケーブルカーまたはリフトの片道券まで付いて、通常より約20%お得です。

      差がつくのは、ここからです。高尾登山ケーブルカーは、ただの移動手段ではなく、それ自体がひとつの見どころ。全長1,000m、高低差270m。この斜面を約6分で登りきり、最急勾配31.18度という日本一の急坂を味わえます。降りればすぐ、舗装された1号路が上のたかおさん駅のわきから延びていて、これが人の流れる王道。ピーク日には、ここが最初のボトルネックになります。あえて選びたいのが、6号路のびわ滝コースです。沢沿いに山頂まで続く未舗装の道で、ケーブルカー下の清滝駅の左手、水音のするほうへ入っていきます。売店もトイレもないぶん、1号路が渋滞していても、ひんやりした沢の静けさがそのまま残るんです。行きは勾配を味わいにケーブルカーで一気に上がって、帰りは6号路を沢音の中へ下る。そんな歩き方も、悪くないですよ。

        とろろそばは、店の名前で選びたい

        高尾山の名物は、観光のついでに生まれたものではありません。もとをたどれば、参拝者のための食でした。744年開創の薬王院は、いまも山の信仰の核。すりおろした山芋(とろろ)をのせたそばは、その険しい参道を登る人を養うために育った一杯です。とろろが艶とのどごしを与え、軽いのに力が出る——だからこの山で根づきました。せっかくなら、その系譜がいまも途切れていない店で味わいたいところです。

        高尾山口駅とケーブルカー下の駅を結ぶ参道沿いに立つ高橋家は、1836年からとろろそばを出しつづけてきました。とろろは長芋と、粘りの強い大和芋を合わせたもの。鶉の卵ととんぶりが別の器で添えられ、樹齢およそ150年の柿の木が天井を突き抜けて枝を伸ばしています。もう少し上、薬王院寄りの栄茶屋は1930年代前半から続く一軒。栽培物より香りが立ち、味も深いと珍重される自然薯(じねんじょ)、つまり本物の山芋で一杯を仕立てます。国産そば100%を使う高尾山スミカのそば処は、ヴィーガン対応のある数少ない店のひとつ。この三軒のどれに入っても、口に運ぶのは土産物としてのそばではなく、その料理が生まれた理由そのものなんです。

          順番まで決めたい日に

          混雑を織り込んだ高尾ルートで歩く

          ケーブルカー、薬王院、山頂、そば。季節データがすすめる順番で、まわってみませんか。

          モデルコースを開く

          チェックリストの、その先へ

          山頂の眺めやケーブルカーは、たしかに絵はがきの定番。でも記憶に長く残るのは、聖なる山としての歴史に根ざした時間のほうだと思います。薬王院で一日の軸にしたいのが、毎日おこなわれる護摩の火の儀式。本堂で営まれる密教の修法で、所要はおよそ30分、申込は現地で朝8時30分頃から午後4時頃まで受け付けています。炎と読経がぐんぐん高まっていくその只中に立つと、行列に並んだあの山とは、まるで別の山に感じられるはずです。

          1号路からのちょっとした寄り道が、うれしい見どころにつながることもあります。上の駅から歩いて3分の高尾山さる園では、約90頭のニホンザルがのんびり暮らしています。となりの野草園には、およそ300種(その多くが希少種)の草花が2,800平方メートルに広がり、どちらも同じ入園券でのぞけるんです。夏になると、上のケーブルカー駅の近くにビアマウントが開いて、関東平野を見晴らす食べ飲み放題のビアガーデンに変わります。正直に言えば、秋にいつも感じるのは、紅葉は本当に見る価値があるし、混雑も本当に現実だ、ということ。しかも、その両方がしばしば同じ一枚の風景の中に同居しています。霧のかかった平日の朝は、行列を薄めながら赤をいっそう深めてくれる、静かな味方ですよ。

            いちばん静かな高尾は、肩の時間にいる

            ここからは、ちょっとした逆張りの読みです。高尾山の混雑は、山の欠点ではありません。数百万人が暮らす都市から「いちばん手軽に本格的な自然を味わえる一日」。その近さが時間割の上で生んだ副産物にすぎないのです。ミシュランの三つ星と、新宿から片道50分の近さ。運賃はたったの¥430で、そこへ300万人が、秋の週末に潮のように押し寄せます。この先は私の勝手な読みですが、そこから見えてくる答えは、いたってシンプル。ピークを外した肩の時間帯は、その心地よさのわりに、驚くほど人が少ないんです。ケーブルカー始発後の1時間。紅葉シーズンをのぞく、どの平日の朝でも。6号路の、沢の音だけがひびく静けさ。このどれもの中に、写真が売り込んでいる高尾山は、もうまるごと入っています。混み合う日中はとろろそばの時間と割り切って、乗らずに、自分の足で下ってみる。それだけで、世界で最も登られる山は、そっとひとつの山へと姿を戻していきますよ。

              Good to know

              高尾山の観光には、どのくらい時間が必要ですか? +

              ケーブルカーと薬王院、標高599mの山頂、そしてとろろそばの昼食まわりなら、半日あれば十分たのしめます。丸一日とれるなら、静かな6号路やさる園、護摩の火の儀式まで無理なく足せますよ。新宿から約50分・片道¥430と近いので、早めに出て、のんびり半日というのがちょうどいい塩梅です。

              混雑を避けるには、いつ行くのがいいですか? +

              ねらい目は、通年で平日の午前です。一年でいちばん混むのは紅葉に押される11月後半で、人出のピークは11月中旬から12月下旬まで続きます。どうしても紅葉の週末に行くなら、始発のケーブルカーに乗るか、人波がふくらむ前に6号路を歩いて登ってしまうのが正解ですよ。

              これだけ混むなかで、高尾山は行く価値がありますか? +

              あります。ただし、ひと工夫を添えて。世界で最も登られる山だけあって、ピークシーズンの日中は駅の改札のように感じる時間帯もあります。それでも、早朝をねらう、行列ではなく未舗装の6号路を選ぶ、紅葉シーズン以外の平日にずらす。このひと手間が報われる度合いは、東京発の日帰りのなかでも指折りです。

              一日の費用は、どのくらいみておけばいいですか? +

              まず京王線が片道¥430、乗り物を使うならケーブルカー代が加わります(京王の「高尾山きっぷ」なら、電車とケーブルカーまたはリフトの片道券がセットで約20%お得)。ここにとろろそばの昼食代と、さる園の入園料や薬王院の護摩の少額の拝観料を足すくらい。事前予約はいりません。