
湯に浸かって、あたたかいものだけ食べて帰りたい。そんな日の行き先は、東京から片道約3時間・¥6,300ほどの草津温泉が正解です。湯畑に着けば、売り子さんから手渡される蒸したての温泉まんじゅうがふわりと黒糖の香りを放ちます。この出迎えを受けた人の数、2024年度は過去最高の401万9千人。前年比8.6%増で、初めて400万人の大台に乗りました。ただ、あの無料試食は草津グルメの入り口であって、本編ではないんです。本当の主役は、旅館の食事と群馬の山の恵みが寄り集まってできた、ランチ中心の小さな食の街。良い店ほど午後早くに閉まる理由さえつかめば、驚くほどおいしいものにありつけますよ。
草津の夜は、旅館のものです。泊まり客は宿で会席をいただくので、町の独立系の食事処はランチが主戦場。多くはだいたい15時から18時のあいだに、のれんをしまってしまいます。いっぽう東京から約3時間かけて来る日帰り組が着くのは11時前後。つまり街じゅうの空腹が、昼のたった4時間に流れ込むわけです。口コミにも、その混みようがくっきり写っています。湯畑そばの有名そば店「三國家」はGoogleレビュー1,000件超・平均3.9★と町内最多の人気ぶりですが、不満の声はほぼピーク時の行列のことだけで、料理には向いていません。となれば、やることは三つです。ランチを一日の主役に据えること。11時半前か13時半以降にすっと入店すること。そして、夜の営業時間を確かめないまま町での夕食を当てにしないことです。この三つさえ守れば、あとはおいしい思いが待っていますよ。
黒糖の皮のつややかな茶色、割ればふわりと立つ甘い湯気。あんこを包んで蒸した温泉まんじゅうは草津土産の代名詞で、湯畑周辺の試食売りが、そのいちばん威勢のいい出会い方です。試食そのものは本当に無料。ただし、ひと口が箱につながり、箱がレジにつながる、よくできた客引きでもあるんです。せっかくなら徒歩1分ほどの、店構えのあるお店へ。1個¥120–150前後で、今度は味で選べますよ。
草津の食卓に並ぶのは、海の幸ではなく山の幸。舞茸に上州豚と上州和牛、そば、そして群馬名物の幅広ひもかわうどんです。海鮮の代わりを務めるのは、香ばしく焼き上がる川魚の塩焼き。一日の予定をこれに合わせる価値のあるランチが、この顔ぶれです。
行きの列車選びは、じつはランチ計画そのものです。特急「草津・四万」なら、上野から長野原草津口まで約2時間20分(約¥5,770)。そこからJRバスに25分(IC ¥710)揺られれば、湯けむりの温泉街に到着です。合計およそ3時間・¥6,300–6,500で、JR EAST PASSの範囲にも収まります。気をつけたいのは本数で、特急は1日わずか2〜3本。どの列車を選ぶかで、ランチの時間帯に間に合うかどうかが決まってしまうんです。バスタ新宿からの直行高速バスは約4時間・¥3,500–4,500前後と財布にやさしい代わりに、最初のランチラッシュを過ぎてからの到着になることも。いずれにせよ草津は標高約1,200メートルの街。初秋でも夜はきゅっと冷え込むので、買いたての温かいまんじゅうを懐炉代わりにどうぞ。
足元を流れているものを知ると、この街の食はぐっと近くなります。草津の自然湧出量は毎分32,300リットル超で、堂々の日本一。湯畑だけでも約4,000リットルが、木製の湯樋を音を立てて流れ下ります。名物の温泉たまごは、白身がかろうじて固まる湯温でゆっくり火を入れたひと品。いわば源泉をそのまま口に運べるかたちで、出汁醤油をとろりとかけていただきます。食休みには、熱乃湯の湯もみショー(約20分、¥600–700前後。2025年後半に料金改定があったため当日要確認)へ。50°Cを超える湯を水で薄めず、木の板でざぶんとかき混ぜて冷ます地元の知恵が見られますよ。締めくくりは西の河原公園の無料散策がおすすめ。緑がかった湯だまりが岩肌から湯気を上げる、町いちばんの散歩道を歩いてみては。
早じまいの営業時間を、欠点と呼びたくなる気持ちは分かります。観光客数は過去最高なのに、うっかりすると夕食難民になりかねないのですから。でも編集部の読みは逆で、夕方の静けさは、この街が「こう使ってほしい」とささやいているサインなんです。草津の食は、しっかりしたランチを軸に日帰りするか、泊まって宿の会席をいただくか、その二択を前提に回っています。逆らえばコンビニ夕食が待っていますが、乗っかれば両方のいいところを味わえる仕組み。日帰り組が湯畑にカメラを向けているあいだに舞茸天そばのランチを済ませ、10時〜15時の人波が帰りのバスに吸い込まれたら、あとは旅館の夕食をゆっくりどうぞ。言い切るにはまだ早いかもしれませんが、草津の食にがっかりして帰る人の多くは、14時半に着いて「街が待っていてくれる」と思っていた人たち。次の草津は、時刻表とお腹の相談から始めてみてください。
まず外せないのが、黒糖の皮であんこを包んで蒸した温泉まんじゅう。ほかに温泉たまご、舞茸の天ぷらそば、上州豚・上州和牛、群馬名物の幅広ひもかわうどんが顔をそろえます。山のグルメが中心の街なので、海鮮の代わりには岩魚など川魚の塩焼きをどうぞ。
詐欺ではありませんし、試食そのものは本当に無料です。ただ、箱入りのお土産につなげる売り方ではあります。地元の人の定番は店舗買い。松むら饅頭(Google 4.4★)も本家ちちやも徒歩すぐの距離で、1個¥120–150前後からばら売りしていますよ。
正直、思った以上に難しいです。旅館の泊まり客は宿で食事をするため、独立系の飲食店の多くはランチ営業で、だいたい15時〜18時に店じまいします。ランチをその日のメインに据えるか、夕食付きの宿を予約するのが安心。素泊まりなら、当てにするお店の夜の営業時間だけは先に確かめておいてくださいね。
特急「草津・四万」で上野から長野原草津口まで約2時間20分、そこからJRバス25分で温泉街に着きます。合計約3時間・¥6,300–6,500で、JR EAST PASSの範囲内です。列車は1日2〜3本だけなので、時刻表の確認をお忘れなく。新宿発の高速バスなら約4時間・¥3,500–4,500前後です。